世界的に健康志向やエコ志向のあおりからオーガニック市場が広がってきました。食品分野のオーガニックブームに続き、ここ数年ではオーガニックコスメの市場も拡大してきています。
今回はそんな日本でも市場が広がりつつあるオーガニックコスメ市場の認定機関についてのお話しです。
世界的なオーガニックコスメ市場においての認定機関の動き
世界的なオーガニックブームで各国で様々なオーガニック認証団体が生まれています。オーガニック認証の基準は、各団体により内容は異なります。
オーガニックコスメの市場が拡大してくると様々な認証規定による商品が生まれ、いったいどのオーガニック認証のものが安全なのか?など、徐々に消費者の混乱や困惑が増してきました。そんな消費者やコスメ業界・流通業界からのあおりを受けて、ユーロッパ統一基準を設けようという動きがみられてきたのです。
ヨーロッパにおける5つのオーガニック認証団体がニュルンベルクで開催された2002年Biofa(ビオファ)にて国際的なオーガニックの認証を取りまとめると合意しました。それから8年かけてそれぞれ別々の基準で認証されていたオーガニックの認証基準を2010年に取りまとめ、コスモス認証の仕様が公開されました。
2010年に制定されたコスモス認証とは、Cosmetic Organic Standardの略で、国際基準を取りまとめた5つの団体とは、フランスの「COSMEBIO(コスメビオ)」と「ECOCERT(エコサート)」、ドイツの「BDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)」、イギリス「Soil Association (英国土壌協会)」、「ICEA(イタリア)」です。
COSMEBIO(コスメビオ)
ECOCERT(エコサート)
BDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)
Soil Association (英国土壌協会)
ICEA(イタリア)
COSMOS認証とエコサート
コスモスの基準は、2003年1月版のエコサート基準をベースに構成されています。
・有機農業、生物多様性を尊重した原材料の使用を促進する
・循環可能な形で入手した自然由来原料と環境に優しいもの使用
・人間と地球環境に配慮したものづくりを行う
・”グリーンケミストリー”(生態系に与える影響を考慮し、持続・成長可能な科学工業のあり方を提言する環境運動) の考え方にそった商品開発を行う
https://cosmos-standard.org/the-cosmos-standard/
COSMOS認症マークについて
各国のオーガニック認証団体の基準は2016年12月で終了しており、2017年1月よりコスモスが設けた統一基準での認証を行うこととなりました。
その際の認証マークなのですが、従来の5つの団体のマークはそのままに、マークの下にコスモスマークが追加される形となります。
( 2017年1月以降の新製品の認証マーク一覧 )
2017年1月以前に認定を受けた製品にはコスモスマークは付きません。
現行品で新たにコスモス認証マークがついた製品を発売したい場合には、コスモス基準に合わせた成分調整が必要になり、新たに認証を取り直す必要がありますので、すべてのマークにCOSMOSがつくかというとそういう訳ではないのです。
消費者にとってはちょっとややこしい感はありますが、統一が浸透して来れば問題はなさそうですね。
エコサートのナチュラル認証についはCOSMOS認証に変わったことでオーガニック成分の含有量の規定がなくなりました、また、オーガニック認証についてはオーガニックの含有量の規定がさらに厳しくなりました。
COSMOS認証について
コスモス認証基準は2種類に分類されています。
①COSMOS ORGANIC (コスモス オーガニック)
・内容成分の95%から100%が自然由来の成分であること
・植物原料(オイル・抽出物・バターなど)の95%~100%が有機農法、遺伝子組み換えしていない農法によって作られた原料でなければならない
・完成品の最低20%は有機農法によって作られた原料であること(洗い流す製品シャンプーやリンス、コンディショナーは10%でよいと例外があります)
・ヨーロッパの基準で厳格に定められてる原料以外の成分は使用できない。そして植物原料以外の成分の使用は内容量の5%以下であること
・製品に使われるすべての成分、原料は環境に悪影響を与えない生分解性のものでなければならない。
②COSMOS NATURAL (コスモス ナチュラル)
・使用されている全ての原料は精査され自然由来の原料でなければならない
・オーガニック原料の最小必要含有量はない
・ヨーロッパの基準で厳格に定められてる原料以外の成分は使用できない。そして植物原料以外の成分の使用は内容量の5%以下であること
・製品に使われるすべての成分、原料は環境に悪影響を与えない生分解性のものでなければならない。
使用が禁止されているもの
・遺伝子組み換え(GMO)が行われている植物原料
・生きている動物や解体された動物から産出されたもの
ただし以下の場合に限り、動物由来の原料の使用が可能なようです。
・動物から算出されるものではあるが、動物の一部ではないもの
・処理によってのみ得ることができるもの
・動物愛護が守られている動物から産出されたもの
上記の記載ではわかりづらいですが、牛乳やはちみつなどが使用可能で、動物の油脂やコラーゲンなどは使用不可なようです。
コスモス認証、石油由来成分はあり?なし?
コスモス2種のうち、COSMOS NATURAL (コスモス ナチュラル)では一部、石油由来成分の使用が可能なものがあります。その多くは防腐剤にあたります。旧指定成分も含まれています。
ただし、内容成分の配合比率を明記することを定めており、合成成分の配合の上限については2%と規定しています。
そこでやはり「石油由来成分」の使用することに反対の声も多く、今後も様々な争点はあるでしょう。