アルガンオイルは、モロッコ固有のアルガンツリー(Argania spinosa L.)の部分から作られる植物油です。モロッコでは、アルガンオイルは朝食時にパンにつけるため、またはクスクスやパスタに振りかけるために使われます。また、化粧品としても使用されます。
アルガンオイルの人気が高まるにつれて、モロッコ政府は生産量を増やす努力をしています。2011年から2020年の間に年間生産量を約2,500トンから4,000トンに増やしました。
アルガンツリーの果実は小さく、楕円形、または錐形です。厚い皮が肉厚な果肉を覆っています。果肉は、新鮮な果実の重量の約25％を占める硬い殻のナッツを囲んでいます。
ナッツには1〜3つの油分を豊富に含むアルガンの核が含まれています。抽出量は、抽出方法によりますが、30%から50%の間です。抽出は重要な製造プロセスです。核を抽出するために、まずアルガンの果実を屋外で乾燥させ、次に肉厚な果肉を取り除きます。一部のメーカーは、果実を乾燥させずに機械的に果肉を取り除きます。モロッコ人は通常、果肉を動物の餌として使用します。
次のステップは、アルガンのナッツを割ってアルガンの核を取得することです。このプロセスを自動化する試みは成功していませんので、労働者はまだ手作業で行っています。これが時間がかかり、労働集約的なプロセスになります。ベルベル族の女性たちは、この大変な仕事にしばしば参加します。
料理用アルガンオイルを作るためには、使用する核を優しく焙煎します。アルガンの核が冷めたら、砕き、絞ります。
茶色いペーストからは、無濾過の純粋なアルガンオイルが押し出されます。最後に、無濾過のアルガンオイルを容器に注ぎます。残ったペーストはたんぱく質が豊富で、しばしば牛の飼料として使用されます。
化粧品用のアルガンオイルも同様に製造されますが、アルガンの核は焙煎されず、過度にナッツの香りが出ないようにします。
注がれたアルガンオイルは約2週間置かれ、アルガンオイル中に懸濁した固形物が底に沈むようにします。これにより、自然な沈殿物が形成されます。
よりクリアなアルガンオイルは、必要な明瞭さと純度に応じてさらに濾過されます。
純粋なアルガンオイルには少量の沈殿物が含まれている場合があります。これは製造プロセスの自然な部分であり、品質には影響しません。
食用アルガンオイル
料理用のアルガンオイル（食用アルガンオイル）はパンにつけるため、クスクス、サラダなどに使用されます。アムルー（Amlou)という名前の濃い茶色のペーストは、焙煎したアーモンドとアルガンオイルを石で砕き、はちみつと混ぜて作られ、地元ではパンのディップとして使用されます。
アルガンオイルの摂取による健康への効果的な影響についてはさまざまな主張がされています。
2010年に公開された研究論文では、アルガンオイルが他のオイルよりも高いレベルのγ-トコフェロールを含んでいることが明らかにされました。
この成分は強い抗酸化作用と抗炎症作用を持っています。
モロッコの伝統的なアルガンオイルの使い方
モロッコの伝統的な使い方では、未加熱のアルガンオイルを皮膚病の治療や、肌と髪への美容オイルとして使用しています。
アルガンオイルは保湿オイルとして、またニキビや皮膚の剥離の治療、さらには髪の「栄養」を与えるために推奨されています。
このオイルはまた、リウマチの治療や火傷の癒しに対する医療用途もあります。
また、アルガンオイルはヘアオイルとして使用され、髪を強くし、乾燥した皮膚のしわに使用されます。
アルガンオイルはスキンケア製品としての人気が高まっています。
アルガンオイルを成分とする個人用ケア製品の数は、2007年にはわずか2つだったのが、2011年には100以上に増えました。
その抗酸化効果から、他のオイルと混ぜて販売されることもありますが、天然のスキンケア製品やヘアケア製品として、純粋なアルガンオイルとして販売されることもあります。
砂漠化を防ぐアルガンツリー
アルガンツリーは食料として、また砂漠化を防ぐために役に立っています。
アルガンツリーの深い根は砂漠の侵入をを防ぎ、またアルガンツリーの木陰は他の農作物の陰をつくり、葉と果実は動物の資料になります。
アルガンツリーは土壌の浸食を防ぎ、牧草地の陰をつくり、地下水を再生するなど、環境の安定性を維持します。
アルガンオイルの生産により、アルガンツリーが伐採されることを防いできました。さらに、アルガンオイルの生産地域の再生も行われてきました。2009年には、Essaouira地区のMeskalaで4,300本のアルガンツリーを植える作業が開始されました。
アルガン生物圏保護区の組織ネットワーク（Réseau des Associations de la Réserve de Biosphère Arganeraie、RARBA）は2002年に設立され、アルガンの生産地域での持続可能な開発を保証することを目指しています。
