「抗酸化剤」や「抗酸化物」という言葉を聞くことがありますが、ビタミンやポリフェノールなどが含まれる栄養成分が注目されています。それらが持つ「抗酸化力」とはどういうものでしょうか？
まず、抗酸化力を理解するために「活性酸素」について知っておきましょう。
私たちの身体は酸素を必要としていますが、取り込んだ酸素の一部は「活性酸素」という高い酸化力を持つ物質になります。
活性酸素は他の分子と結合したり、電子を奪ったりする化合物で、いくつかの種類があります。
私たちの体は、活性酸素の影響で細胞が錆びるように老化します。つまり、「錆びる」というのは「酸化」のことなのです。
活性酸素は私たちの体内で常に生成されています。これが蓄積されると、単に老化を早めるだけでなく、ガン細胞の増殖や動脈硬化など、さまざまな疾病の原因にもなることが分かっています。しかし、私たちの身体は酸素を必要とする以上、この活性酸素の影響を阻止するための物質、つまり「抗酸化物質」をしっかりと作り出しています。そして、これらの物質が果たす働きが「抗酸化力」なのです。
抗酸化物質の働きについても理解しましょう。
体内の抗酸化物質には、酵素を含むさまざまな種類のタンパク質や尿酸があります。
また、食物に含まれるビタミン類やポリフェノール類なども抗酸化物質の一部です。これらの物質には、活性酸素の発生を抑えるもの、活性酸素の酸化力を抑えるもの、活性酸素が細胞に与える被害を修復するものなど、さまざまな役割があります。つまり、活性酸素に対する抗酸化物質の作用は、それぞれ異なるのです。
抗酸化物質がなぜ活性酸素の害を防ぐのかを考えてみましょう。
活性酸素は、どれも電子が不安定な状態の分子です。そのため、抗酸化物質は電子を与えることで活性酸素の酸化力をなくします。
一例として、抗酸化物質の中には「スーパーオキシドジムターゼ（SOD）」という酵素があります。この酵素はスーパーオキシドという活性酸素を過酸化水素に変える働きをします。しかし、過酸化水素も実は別の活性酸素なのです。ここで「カタラーゼ」や「グルタチオンペルオキシターゼ」といった抗酸化物質が活躍し、過酸化水素を無害な「水」に変えます。さらに、これらの抗酸化物質が追いつかなくなると、ビタミンB2が助けてくれるのです。
最終的に活性酸素を無害化するためには、複数の抗酸化物質が段階的に協力しているわけです。
そのため、体内で生成される抗酸化物質を補助するために、食事などから多様な抗酸化物質を摂取することが必要となります。
さらに、「マイナスイオン」という言葉が注目されていますが、活性酸素が細胞を酸化させるのは分子がプラスイオンであるため、マイナスイオンが電子を与えることで活性酸素を中和し、無害なものに変えることができます。このマイナスイオンが注目を浴びている理由でもあります。
抗酸化物質を取り入れるだけでなく、活性酸素を増やさないようにすることも大切です。
例えば、タバコは大量の活性酸素を発生させるだけでなく、ビタミンCを壊してしまいます。
また、紫外線や脂肪の摂りすぎ、アルコール、ストレスなども活性酸素の増加要因となるので、注意が必要です。
生活の中で抗酸化物質を摂取し、活性酸素を抑える生活を心掛けましょう。
