ワセリンには発がん性がある!?

ワセリンには発がん性がある!?

ワセリンは長い間、その保湿性の高さから医療現場や日常のスキンケア製品として広く使われてきました。
安全かつ効果的なスキンケアとして、多くの医療従事者や消費者からの信頼を得ています。特に乾燥した肌や軽度のやけどなどの治療において、ワセリンは有効な選択肢とされてきました。

一方で、ワセリンが石油精製過程の副産物であるという事実は、その安全性に疑問を呈する声を生む要因となっています。
石油精製油、つまりミネラルオイルやワセリンの製造過程で、「芳香族炭化水素類」を含む可能性があると指摘されており、これらの物質は発がん性があるとされています。

ワセリンには発がん性がある!?

ドイツの消費者団体「商品品質テスト財団(Stiftung Warentest)」による2015年の研究は、これまでの成分検出法では見過ごされがちだった微細な不純物を発見することに成功しました。
核磁気共鳴(NMR)分光法を用いることで、ミネラルオイルやワセリンが使用されている一流ブランドの化粧品に、ベンゼンやベンゾピレンなどの発がん性物質が含まれていることを明らかにしたのです。

さらに、スイスのチューリッヒ州立研究所のコンラッド・グローブ博士は、私たちの肝臓や脾臓、リンパ節などにこれら石油由来化学物質が蓄積されている状況を検証してきました。食品や化粧品、環境を通じて体内に入り込んだこれらの物質は、潜在的な健康リスクを引き起こす可能性があるとされています。

このような発見にもかかわらず、日本を含む多くの国々で、ワセリンは今なお多くの人々にとって信頼できるスキンケア製品として位置づけられています。
しかし、その成分がどのようにして製造され、体内にどのような影響を及ぼすのかを考えると、私たちはこれらの製品をどのように見直すべきかを真剣に考える必要があります。

ワセリンには発がん性がある!?▲商品品質テスト財団(Stiftung Warentest

石油産業自体も、その開始以来、地球温暖化や環境汚染といった複数のグローバルな問題を引き起こしてきました。
これらの問題への対応として、世界中で「脱炭素社会」への移行が進められています。
化粧品産業もこの流れを無視することはできません。
石油由来の原料を使った製品は、経済的な面での利便性や生産性をもたらす一方で、健康と環境への懸念を引き起こしています。

医療現場においても、石油由来成分の安全性については議論があるため、より自然由来の代替品や合成された安全な成分を使用する方向へと進むべきか、業界全体での見解が求められています。
また、消費者も、より環境に優しい製品や、透明性のある成分表記を重視する動きが強まっています。
化粧品メーカーには成分の選択における倫理的な配慮と、その情報を消費者に明確に伝える責任が増しているのです。

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