小さな粒に水を加えると、周囲がぷるぷるとしたゼリー状に変わるチアシード。ヨーグルトやスムージー、チアプディングなどに使われ、日本でも身近になった食材です。
新しい健康食品のように見えますが、その背景には中米の長い食文化があります。
チアシードは何の種?
チアシードは、シソ科アキギリ属の一年草 Salvia hispanica の種子です。英国王立植物園キューによると、この植物の自生域はメキシコからグアテマラ。亜熱帯を中心に育つ植物です。
種子には黒系と白系があります。色の違いだけで、どちらか一方を特別な食品と考える必要はありません。
古くから中米で食べられてきた植物
ハーバード大学T.H. Chan School of Public HealthのThe Nutrition Sourceでは、チアがメキシコやグアテマラで古くから重要な食料作物であり、紀元前3500年頃には食料として栽培されていたと紹介しています。
「スーパーフード」という言葉が広まるはるか以前から、人々の食生活の中に存在していた種子なのです。
食物繊維と脂質を含む小さな種子
チアシードには食物繊維、たんぱく質、脂質、カルシウム、リン、亜鉛などが含まれます。脂質には植物性のオメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸(ALA)が含まれることも特徴です。
ハーバード大学の資料では、28gのチアシードに食物繊維約11g、たんぱく質約4gが含まれると紹介されています。
一方、人を対象にした試験や研究レビューでは、チアシードだけを食べることで体重、血圧、血糖、血中脂質などが特別に改善すると断定できる結果にはなっていません。ひとつの食品を「食べれば健康になる」と考えるより、多様な植物性食品を含む食生活の一部として楽しむのが適切です。
なぜ水を入れるとぷるぷるになる?
チアシードを水分に浸すと、種子の周囲に粘性のある層ができます。これが独特のゼリー状の食感を生みます。
この性質を利用すると、料理にとろみを加えたり、チアプディングを作ったりできます。
チアプディングの基本
チアシードを牛乳や豆乳など好みの液体に混ぜ、よくかき混ぜて吸水させます。時間を置くと全体がとろりとしてきます。
果物、無糖ヨーグルト、ナッツなどを添えると、朝食やデザートとして楽しめます。甘みを加える場合も、果物そのものの甘さを利用すると素材の風味が分かりやすくなります。
乾燥したまま大量に食べない
チアシードは水分を吸収して大きく膨らむ性質があります。ハーバード大学は、乾燥したチアシードをそのまま食べて直後に水を飲んだ人で、食道内で膨張して閉塞を起こした症例が報告されていることから、あらかじめ水分を含ませるか、ヨーグルトやオートミールなど水分のある食品と一緒に食べるよう注意を促しています。
特に飲み込みに問題がある方は注意が必要です。
小さな粒を、食事のひとつの素材として
チアシードの魅力は、栄養だけではありません。味が穏やかなのでさまざまな食材と合わせやすく、吸水すると食感まで変わります。
何かを劇的に変えてくれる食品としてではなく、果物や穀物、豆、ナッツなどと組み合わせながら、食卓の選択肢を増やしてくれる種子として楽しみたい食材です。
※参考文献・学術資料:
Salvia hispanicaはメキシコからグアテマラを自生域とするシソ科の一年草です。栄養、歴史、研究結果、乾燥した種子の摂取上の注意についてはHarvard T.H. Chan School of Public Healthを確認しました。
The Nutrition Source
Kew Science|Salvia hispanica
Harvard|Chia Seeds – The Nutrition Source

